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公開講座:バロック舞曲の演奏法と鑑賞法 〜 バッハのフランス組曲を中心に
第4回:その他の舞曲と鑑賞の楽しみ

バロック時代のヨーロッパ宮廷に花開いた華麗な舞踏の数々。 それらは実際にどのようなステップで踊られていたのでしょうか? バッハはそれらを鍵盤音楽に移すにあたって何を意識したのでしょうか? バロック舞曲をリアルに演奏し鑑賞するための秘訣を披露します。


1.その他の舞曲

1.1 フランス組曲中のその他の舞曲

1.1.1 ルール

フランス風ジーグを遅くしたもの(映像参照)。
♪演奏の実際:フランス組曲 第5番より ルール

1.1.2 アングレーズ

「イギリスの」の意味。舞踏の詳細は不明。ガヴォット風で、アウフタクトを持たない。
♪演奏の実際:フランス組曲 第3番より アングレーズ

1.1.3 ポロネーズ

「ポーランドの」の意味。リズムの特徴(一拍目を細かく分割する)は後の時代と共通。
♪演奏の実際:フランス組曲 第6番より ポロネーズ

1.1.4 エール(舞曲ではない)

エール(Air仏)=アリア(Aria伊)=エア(Air英) 原義は「空気」→転じて「歌曲」。 器楽曲の場合は、どの舞曲にも属さない小品を指す(必ずしも歌唱風とは限らない)。
♪演奏の実際:フランス組曲 第2番より エール、フランス組曲 第4番より エール

1.2 フランス組曲以外のバッハの舞曲

1.2.1 パスピエ

3/8または6/8拍子で1拍のアウフタクトを持つ。メヌエットを速くしたもの(映像参照)。
♪CD鑑賞:管弦楽組曲 第1番より パスピエ

1.2.2 シャコンヌ

定型バス上のサラバンドのリズムによる変奏曲。舞踏はサラバンド同様技巧的(映像参照)。
♪CD鑑賞:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第2番より シャコンヌ

1.2.3 シチリアーノ

「シチリア島の」の意味。ゆったりした6/8拍子。舞踏の詳細は不明。 南欧ではクリスマスにこの音楽を捧げたことから、バロック時代を通じて「牧歌風」を象徴する音楽となる。
♪CD鑑賞:フルートとチェンバロのためのソナタ 変ホ長調より シチリアーノ

1.2.4 フォルラーヌ

フランス風ジーグに、牧歌的雰囲気が加わったもの。
♪CD鑑賞:管弦楽組曲 第1番より フォルラーヌ

2.鑑賞の楽しみ

2.1 フーガや声楽作品にも用いられた舞曲のリズム

当時は宗教と世俗は相反するものではなく、 信仰の喜びを表現するために舞踏のリズムが好んで用いられた。 (以下の具体例は八百板の主観による。)

平均律クラヴィーア曲集第1巻のフーガ
・ヘ長調:パスピエ(この曲の原曲となったフィッシャーのフーガはフランス風ジーグ)
・ト長調:ドイツの16分音符を多用するジーグ(フランス組曲第6番参照)

平均律クラヴィーア曲集第2巻のフーガ
・嬰ハ短調:イタリア風ジーグ
・ヘ長調:イタリア風ジーグ
・ヘ短調:ブーレ(2/4拍子だが)
・ト長調:イタリア風クーラント
・変ロ長調:メヌエット
・ロ短調:パスピエ

インヴェンション
・ニ短調:パスピエ
・ヘ長調:16分音符が支配的なバッハ独創のクーラント(フランス組曲第5番参照)
・ト長調:9/8拍子のバッハ独創のクーラント(フランス組曲第4番参照)
・イ長調:ドイツの16分音符を多用するジーグ(フランス組曲第6番参照)
・イ短調:アルマンド(フランス組曲第3番参照)

シンフォニア
・変ホ長調:サラバンド
・ホ長調:9/8拍子のバッハ独創のクーラント(フランス組曲第4番参照)
・ト短調:ルール
・イ短調:メヌエット

教会カンタータ
・第105番より第5曲「わたしがイエスだけを友とすることができるならば」:ガヴォット
・第181番より第1曲「軽薄な浮ついた心をもつ者たちは」:ブーレ
・第173番より第6曲「動かしてください、至高のお方よ、私たちの霊を」:メヌエット

2.2 舞曲当てイントロクイズ

2.3 予測しながら聴き進む組曲の楽しみ方

・次は何の舞曲か?
・それはフランス風か、イタリア風か、またはドイツ(特にバッハ)独自のものか?
・チェンバロの場合、それはどの音色が割り当てられるか?(すなわち曲の性格をどう設定するか?)
※バロック音楽では、組曲でもソナタでもオペラでも、一つの楽章にずべての感情を盛り込むのでなく、 各楽章が独自の感情を表現することに徹する美学を持つ。


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