チェンバロ奏者 八百板正己 のホームページ

チェンバロ日誌(2006年8月)

チェンバロ日誌
8月10日(木)
 毎日クラヴィコードを弾くのが楽しみです。 来月のクラヴィコード紹介企画までの間の借り物ですが、 この楽器の練習がすっかり毎日の日課として定着しています。 クラヴィコードはキーを押している力を変化させると音程も変わります。 これを上手に利用すればヴィブラートをかけることもできるのですが、 うっかり気を抜くと意図しない音の音程が無意味にずり上がったりしてしまいます。 また特に高音域は無造作にキーをたたいてもキーが弦にはじかれてしまって音が鳴らないので、 安定した速度で打鍵した直後に安定した力で保持することが必要です。 このように、まともに音を出すだけでも隅々まで神経を行き渡らせないといけない楽器ですし、 自然と表現が濃く深くなっていくので、 バロック時代のチェンバロ奏者やオルガン奏者がクラヴィコードでの練習を推薦した理由も納得がいきます。
8月18日(金)
 チェンバロ教室の4回目の発表会まであと2日、 本番を前にしてレッスン以外にもチェンバロで練習する時間がほしいと、 生徒さんがスタジオに練習にやってきます。 今これを書いている隣室ではバッハのフランス組曲が鳴っています。 私にとってチェンバロはいつも自分で弾くものと決まっていますから、 他の人が私の所有楽器を弾くのをこうしてレッスンなどでもなくBGMとして聴くのは不思議な感じがするものですね。
8月21日(月)
 昨日は教室の発表会でした。 チェンバロ独奏10人のほかに、リコーダーとチェンバロのアンサンブル2組、 歌とチェンバロのアンサンブル1組という顔ぶれです。 一人当たりの演奏時間を10分以内に制限しましたが、 それでも2時間を超える本格的な「演奏会」になりました。 皆さんは家ではチェンバロの代わりにピアノなどで練習しているにもかかわらず、 慣れない楽器で臨む不安を感じさせることなく美しい音でしっかりと演奏してくれました。
 会場であるりゅーとぴあスタジオAはチェンバロの音がとても美しく響きます。 私は自分の楽器がこの会場で演奏されるのを客席側から聴く機会は年に一度の発表会しかないのですが、 この冬に爪を鷲の羽に換えてから初めてとなる今年の発表会では、 少し暗めに設定した照明の効果とも相俟って、 今までになくチェンバロの音に聴き惚れてしまいました。
 今年の出演者は全員大人の方ばかりでしたが、 あるピアノの先生が 「子供のピアノの発表会のように演奏が途中で止まったり崩壊したりということが無く、 安心して聴いていられたのは、やはり大人の習い事は目的意識がしっかりしているからだ。」 と感想を聞かせてくれたのは本当にそうだと思いました。
 出演者の2倍ほどのお客様が聴きに来て下さいましたが、 出演者の家族や友達は一部で、 あとは全く見ず知らずの方々だったというのも嬉しいことです。 アマチュアが演奏する発表会ということで入場無料にしましたが、 音楽教室でピアノを教えている人なども加わったレベルの高い内容でしたから、 お客様にも喜んでいただけたことでしょう。 年を重ねるごとにチェンバロがここ新潟に少しずつ浸透してゆく手応えを感じます。


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