チェンバロ奏者 八百板正己 のホームページ

チェンバロ日誌(2007年8月)

チェンバロ日誌
8月7日(火)
 新潟県内のある大手ピアノ教室で、 生徒さんとそのご家族対象にチェンバロ体験&メヌエットを踊ってみる企画を受け入れていただきました。 今日はそのピアノ教室最上階にある小ホールにチェンバロを持ち込んで、 教室の先生方に企画のプレゼンテーションをしてきました。
 楽器搬入経路の下見はしておきましたが、 階段の踊り場がかなり狭くて大変な作業が予想されました。 案の定、長さ2.5mのチェンバロはほとんど垂直に立ててやっと通過しましたが、 私は鍵盤側を肩にかついだまま地面に座り込むような格好で摺り足ですすみ、 反対側を持ち上げてくださる店長やスタッフの方も腕を頭上に一杯に延ばしてやっと楽器を支える際どい状況。 過去8年余りの運搬経験の中でも一二を争う難路でした!が無事搬入成功!
 プレゼンテーションが始まると、 さすがピアノ教室の先生方、 実物のチェンバロを見たことのある方が半数以上いらっしゃいます。 しかし、一度ピアノに駆逐されて歴史から姿を消した楽器がここ数十年で甦った「ホットなクラシック」だという話や、 その教室で使っているテキスト中のバロック音楽の3分の1を占めるメヌエットを子供に踊らせてあげると、 その後どんなに生き生きとバロック音楽を弾くようになるかという話に大きく頷いて下さる方が何人もいらっしゃいます。 私の家内(この教室の講師をやっています)が趣味でクラシックバレエを10年続けているので、 見本に数小節だけメヌエットを踊らせてお見せしたところ、 私ひとりのデモ演奏の時より大きな拍手が・・・。
 企画の目玉の一つとして、 生徒さんにチェンバロを弾かせてあげるコーナーがあります。 メヌエットなどの舞曲は本来チェンバロの通奏低音を含む合奏音楽をイメージして書かれているので、 生徒さんは右手だけ弾ければ私がこんなふうに上鍵盤で通奏低音を弾いて合奏してあげます、と説明して、 テキスト中のごく易しい曲で家内に右手を弾かせて、 私がバロック宮廷音楽の雰囲気たっぷりにアルペッジョや装飾音を多用した華麗な通奏低音で飾り立てると、 またもや私ひとりのデモ演奏の時より大きな拍手が・・・。
 舞踏や通奏低音という、チェンバロ独奏曲の背景にある時代の雰囲気がとても新鮮だったのでしょう。 その驚きを生徒さんたちにも体験していただきたいです。 当日たくさんの方々が集まりますように。
8月15日(水)
 暑いです! 暑いこと自体は汗をいっぱいかいて健康によいので結構なことなのですが、 スタジオの空調が15分間隔の手動運転を余儀なくされて参っています。 外が暑いので、エアコンが取り付けてある壁も暖まって、 よってエアコンの温度センサーも暖まるので、 室温が設定温度より6度も下がってもまだ全開で冷気を噴いています。 すると部屋の湿度がものの30分で70%から50%未満へと急減する勢いなので、 チェンバロの調律がとっても変な具合に狂いまくります。 (高音域のミからソのあたりだけ異常に下がるとか。) 冬用の加湿器はとっくに片付けてあるので、 熱交換機能付きの換気扇を弱で回して外の湿気を導入しながら、 ちょっと弾いては温湿度計に目をやってエアコンと換気扇をつけたり消したり。 でもつい練習に熱が入って、調律が気持ち悪ーく狂ってハッと気がつくと冷えすぎに乾燥しすぎ。 一日中ずっとこんな感じなら、それはそれで様子が一定しているのでいいのですが、 日が陰ったり、夕方になったりして壁が冷えてくると突然、 設定温度に達したエアコンは逆に湿気を含んだ風を噴き始めるのです! 今度はものの15分で鍵盤が湿気でべっとり。 「うちのエアコンは頭が悪い!」と空調に詳しい知人にこぼすと、 温度と湿度を独立してきちんと制御できるような機械は、 ビルなどの業務用の、しかもかなり高価なものしかないと言います。 よほど空調に予算をかけた音楽専用ホールでもないかぎり、 普通の演奏会場では湿度の独立制御は不可能なのだそうです。 まあ、この暑さもあと少し。 15分間隔の手動運転でしのぎます。
8月17日(金)
 新潟県内向けダイレクトメール380通の発送が終わりました。 9月から12月までの演奏会チラシ5枚に送り状1枚をまとめて4つに折って封筒にいれて封をする作業を380回おこなうと6時間半かかりました。 封筒の宛名印刷や送り状の印刷もプリンタが全自動でやってくれないので、 横に付いて手を貸してあげながら結構時間を使いました。 チェンバロ音楽への愛がいっぱい詰まったダイレクトメールです。 この気持ちがお客様に届きますように。
8月21日(火)
 一昨日は月に一度の長岡教室の日。 我が愛器を車に積んでの移動教室です。 夕方1時間ほど空き時間が出来たので秋の演奏会の練習をしていると、 外はだんだん暗くなってきて、 ガラス張りの部屋は外からよく見えるだろうなと思っていると、 はたち位のカップルがガラス戸越しに興味深そうに覗いています。 中に招き入れると「何か弾いてほしい」というので、 ふつうこういう場合は1分程度の小品を軽く弾いて楽器の説明など始める私ですが、 この時はその練習中の曲の感情に入り込んでいたところだったので、 6分少々かかるルネサンス期の曲でしたが構わず弾き始めました。 嬉しかったのはそのカップル、 クラシック音楽などには全く縁がないそうなのに、 「バンドで使っているキーボードに入っているチェンバロの音と全然違って身震いした」とか言って、 最後まで嬉しそうに聴いてくれました。
 それから最後の生徒さん(この日が初レッスンの新しい生徒さんですが)のレッスンをしていると、 また外に若い女性が立っていて、 窓に張ってある私の10月14日の演奏会のチラシをじっと見つめています。 生徒さんにはちょっとそのまま弾いていてもらってその女性を招き入れると、 「朝のFMで聴くだけだったチェンバロがこんなに身近にあるなんて感激です!」 と夢見心地におっしゃいます。 教室の案内やこれからの演奏会チラシを渡して、 「レッスン中ですけどお聴きになるだけならどうぞ」と言って私はレッスンを再開しましたが、 その方はしばらくのあいだ夢見心地に聴いていらっしゃいました。 嬉しいですね!チェンバロを職業にしていてよかったです。
 さて、昨日は柏崎(!)に演奏会(!)の打ち合わせに行ってきました。 毎年秋に柏崎の自宅の蔵を会場にして私を呼んでくださっていた方が、 このたびの中越沖地震でご自宅が全壊してしまわれたのですが、 「柏崎での演奏会がみんな中止になっては寂しいからこれは続ける」とおっしゃってくださったのです。 代わりの会場にと選んでくださったお寺にご挨拶がてら下見に行き、 会場の配置や選曲など打ち合わせてきた次第です。 帰りにはその方の全壊して瓦礫の山になったままのご自宅を見せていただきいました。 この大変なときに演奏会を企画してくださるなんて本当に有難いです! チェンバロを職業にしていてよかったです。
 昨日はもう一つ、一年以上前からの懸案事項である「観葉植物の植え替え」もしました。 3年前のスタジオ開設&結婚祝いにと新潟オルガン研究会のみんなから贈られたもので、 私の身長より高いです。 けっこう大きな鉢に入っていますが昨年あたりから根が次々に鉢の下から這い出てくるので、 鉢の中はきっと根で埋まっているんだろうと予想されたのですが、 植え替えをしようしようとずっと思いながら多忙にかまけて延ばし延ばしになっていたのです。 本当は5月か6月ごろにする方が植物の健康にいいのだそうですが、 来年まで延ばすとさすがに弱ってしまいそうなので決行しました。 どうか枯れないで下さい。
 そして今日はスタジオに石川県金沢市の女性が初レッスンにいらっしゃいました。 震災復旧工事中ででこぼこの北陸自動車道を通って片道4時間かかったそうです。 チェンバロに興味があってインターネットでいろいろ調べたけれど、 きちんと習えそうな一番近いところが私のところだとのことです。 実は新潟教室にもやはり片道4時間かかって山形県からレッスンにいらっしゃる生徒さんもいるのです。 嬉しいですね!チェンバロを職業にしていてよかったです。


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