チェンバロ奏者 八百板正己 のホームページ

チェンバロ日誌(2009年1月)

チェンバロ日誌
1月25日(日)
 生まれた子供のことを書き出すと「チェンバロ日誌」が「子育て日誌」になってしまうと思って自制していたら、 また「日誌」が「月報」になってしまいそうです。
 今日はチェンバロの温度管理について書きましょう。 寒い日が続いています。 いつもスタジオに着く4時間前までにエアコンが入るようにセットしておきますが、 部屋はなかなか暖まりません。 温度湿度に敏感なチェンバロの調律は当然大幅に狂っています。 それでも12月くらいまでだと、狂っていても気にならないようなトリル練習や爪の調整などに時間を使い、 午後になればほぼ前日の楽器の温度に戻るので調律も自然に戻りますが、今はそうはいきません。 問題は室温が戻っただけでは楽器の温度は戻らないことです。 原因は壁の冷たさです。 スタジオを作るときに断熱材をたくさん入れてもらったつもりでも、 壁に手を近づけてみると明らかに壁に向けた手の面だけがヒヤーッと感じます。 そう、赤外線ストーブの逆ですね。 壁が輻射熱を奪っているのです。 エアコンは「室温が設定温度に達した」と判断して運転をゆるめますが、 壁は冷たいまま。 すると、楽器の壁に面した部分、つまり低音側が冷えたままで、 低音の弦だけが縮んだままなので音が高く狂ったまま、ということです。 それから丸一日かけて壁の温度は少しずつ上がっていきますから、 それに付き合って一日中調律をし続けないといけなくなります。 そんな事していられないので、 数時間のうちに壁を温めるためには赤外線を出す電気ストーブを併用しないといけないんですね。 ですが早朝の無人のスタジオで電気ストーブにタイマーを付けて運転させるのは何となく怖いので、 スタジオに着いてから電気ストーブをつけて壁すなわち楽器が暖まるまでの間は、 やっぱり狂ったままのチェンバロを弾いています。 石油ストーブ(ファンヒーターは赤外線を出さないのでダメですが)も赤外線を出しますし、 結構パワフルなので午前中にレッスンをするときなど助かりますが、 今度は燃焼に伴って水蒸気が出るので、 あまりに寒い日は一日中石油ストーブに頼りきりになって湿度がどんどん上がり、 また調律が狂いますし鍵盤やジャックの動作不良も起こります。
 以前は日によっては一日中調律ばかりに時間を取られることもよくありましたが、 今ではだいぶ寒さとの付き合い方も上手になってきたと思っています。


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