チェンバロ奏者 八百板正己 のホームページ

チェンバロ日誌(2010年2月)

チェンバロ日誌
2月11日(木)
 行ってきました!ものすごい雪の中を群馬まで。
 2月5日は我が家のあたりはかなりの雪だったので、 「明日の群馬行きは時間に余裕を見て早めに出発しよう」と覚悟を決めました。 長時間の雪道運転は体力も消耗するから早く寝よう、 との目論みは結局練習最優先で挫折して4時間睡眠になってしまいましたが、 それでも予定通りに朝起きました。 窓から外を見ると昨夜から全然積もっていません。 「これはラッキーだね!」と余裕で衣装のアイロンがけを済ませ、 コーヒーを豆から挽いてドリップで淹れるなどして寛いだ気持ちで10時に車に乗りました。 ところが高速道路の入口に「雪のため関越道小出−塩沢間通行止め」の電光表示が! いちばん除雪体制の万全なところがどうして雪で通行止めなの? と納得いきませんが、小出から塩沢までは何度も通った山沿いの抜け道を知っているので、 最悪でも夕方のリハーサルに間に合わないということは無いだろう、と高速道路に乗りました。 走るにつれて雪が降ってきましたが、それでも小出まではけっこう飛ばせて、 予定通り1時間あまりで高速を降りました。 大変だったのはそれからです。 前日にこのあたりにも積もった新しい雪が昨日からの低温でサラサラのままのところに、 激しい風が出てきたので、ものすごい地吹雪で完全にホワイトアウトです。 前の車のテールランプどころか、対向車のヘッドライトも見えず、 もちろん道路わきに迫る雪壁も全然見えず、 時折風がふっと弱まる瞬間に状況を確認してはまた何も見えない中をゆるゆると前進です。 こんな状況で走るのは危険ですが、停車すれば間違いなく追突されますから進むしかありません。 私の責任はとにかく車に積んであるチェンバロと一緒に無事に夕方までに群馬にたどり着くことであって、 たとえかすり傷程度の事故でも巻き込まれている時間の余裕は無いのです。 「小出−塩沢間の通行止めの原因はこれだな」と思いながら、 この抜け道は交通量も信号も人家も少ないのが幸いして、 ヘトヘトに疲労困憊しながらも1時間半ほどで塩沢に着きました。 素直に国道8号線を通っていたら何時間かかったことでしょう。 塩沢インターで高速に乗ると山間部なので風は弱く、前進できる程度の視界はあります。 乗ってすぐに除雪車に追いつき、時速40キロの除雪スピードで追い越し禁止のまま 「塩沢−湯沢間ってこんなに長かったっけ?」と思いながらも交通の危険はありません。 除雪車が湯沢で降りてからはマイペースで、 といってもやっぱり雪で路面も視界も良くないので60キロがせいぜいですが、 群馬県側の交通規制は無いようなのでどうやら4時までには目的の群馬県桐生市に着きそうです。 前回桐生で演奏してから2年あまりの間に高崎から北関東道が桐生の先まで伸びたので大助かりです。 結局先週のリハーサル(その日は日帰りでした)のときが片道3時間だったので2倍近くの時間かかって (2倍もかかったというべきか、2倍で済んだというべきか)3時半に無事に会場に着きました。 会場に着いたらただちにチェンバロを搬入し、 持参した電気ストーブでチェンバロを温めて最低限の調律をしたら練習開始です。 6時のリハーサル開始までにはきちんと調律もしないといけないので忙しいです。 手で持てる楽器と違って「空き時間に楽屋で指慣らし」ということのできない楽器ですから不利ですね。 その日のリハーサルは9時過ぎに終わり、 ホテルに着いて久しぶりにまともな時間に寝ました。
 2月7日、前日の睡眠不足と疲労にエアコンの設定ミスが重なって、目が覚めると喉が痛いし熱っぽいじゃありませんか! どうしよう、この大事な舞台に!何といってもブランデンブルク協奏曲第5番のソロが! とにかく気合で乗り切るしかない。 だから朝食は(バイキングなのを幸いに)ガッツリ食べて、 気を張ってリハーサルをこなし、 その勢いで本番もこなし(さすがに第1楽章は不安から来る緊張で流麗さに欠けました。 他の曲の通奏低音でもいくつかやっちゃいました、ゴメンナサイ)、 帰路はスイスイでその日のうちに無事帰宅しました。
 2月8日は気力で封じ込めていた風邪にやっぱり負けて、一日中寝ていました。 11日に新潟でヴァージナルの演奏会をするのに寝ている場合ではないのですが、 どうせダウンするなら一日で済ませてしまったほうが効率がいいです。
 2月9日からは頭の中を完全にルネサンス・モードに切り替えてヴァージナル練習に突入です。 12月に本番に乗せた内容そのままですから、手が思い出してくれればあとは心の問題です。 限られた練習時間に最低限何をどういう優先順位でこなせばいいか、 最近はだんだん自分の能力や状況を読めるようになってきたので、 こういうハードなスケジュールも可能になってきました。
 そして今日(2月11日)、新潟での2時間弱のヴァージナル演奏会を終えてこれを書いています。 さあ今度は一週間後の「チェンバロ演奏とお話の会」で弾く、 今まで一度も弾いたことの無い「バッハの前奏曲とフーガ嬰へ長調」です。 群馬に行くまでにも練習は進んでいますが、 本番までに間に合うか?というような低次元の話ではなく、 どこまで作品の秘密を読み解いてどこまで心を込めて弾けるようになるのか、 挑戦は続きます。


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