チェンバロ奏者 八百板正己 のホームページ

チェンバロ日誌(2011年11月)

チェンバロ日誌
11月6日(日)
 横浜から帰ってきました。 で、次なる目標はゴルトベルクの第4回。でもこちらは大体練習は済んでいます。 それより気合を入れないといけないのが11月末のオルガン研究会です。 実は私、このたび意を決してオルガンの足鍵盤技術習得のための訓練をスタートすることにいたしました! これまでもごく簡単な足鍵盤の曲は弾いてきましたが、 今回私が弾くのはバッハの「オルガン小曲集」の中の曲です。 これはバッハ自身が「オルガン初心者が足鍵盤の技術を習得できるように作曲」と書いたように、 こんにちでもオルガニスト必須の教材となっています。 これをきっかけにコンサートの有無に関わらずこの曲集の練習を着々と重ねていくと、 数年後(10数年後?)には「足鍵盤の達人 八百板正己」ができあがるというわけです! 我流で無駄な遠回りをしないように、 音大のオルガン科を出た仲間にちゃんと弟子入りして、 座り方や足の構えから勉強を始めています。
 私が持っている楽器に足鍵盤なんかありませんので、 今まではチェンバロを弾きながら 「ソの音はこのへん、ミの音はこのへん」とイメージしながら何もない床を踏んで練習していましたが、 オルガン小曲集のレベルになるとそうはいきません。 でも毎日毎日どこかのオルガンに練習しに行く時間はありませんから、 ホームセンターで角材を買ってきて練習用の足鍵盤を作ることにしました。 音は出ませんが、何もない床を踏むよりはずっといい練習ができるようになるでしょう。
11月12日(土)
 オルガン練習用の足鍵盤ができました。 Cからd1までの2オクターブと2音で27キーです。 予告どおり音は出ませんが、でも一応動きます。 仕組みは簡単。 ホームセンターで売っているスポンジの「ドアすきま用テープ」をキーの裏に貼り付けて、 それを板の上に並べて貼るだけです。 やっぱり動かない鍵盤を足で触っているだけよりも、 たとえ深さ1cmでも動くことによってすごくイメージができますね。 こんな簡単なもので材料費は3,000円ですが、 図面を描くのから完成まで約8時間でした。 8時間のうち2時間は、何と両面テープの剥離紙をはがす作業に取られたんです。 スポンジに貼った両面テープの剥離紙って、どうしてこんなにもはがしにくいんでしょう? でも久しぶりにヒノキの角材に鉋をかける匂いにはワクワクしました! 子供の頃、ヒノキの角材を小刀一丁で削り出して船の模型作りに没頭していたのを思い出しました。
 ですが、早速練習を始めてみて問題発覚。 まず、オルガンの足鍵盤というのは椅子の下にまで伸びているもので、 そのためオルガンの椅子は足鍵盤をまたぐように幅が1.5mもあるものなのですが、 私のチェンバロの椅子はそんなに大きくないですから、 作った足鍵盤が椅子の前にしか置けません。 なので体が安定する本当の座り方(太もものあたりまで深めに座る)をするとシャープキーに足が届かないのです。 仕方なく浅く座ってみると体がフラフラと不安定になりますが、 試しに椅子を低くして深く座ってみたら今度は足を宙に浮かせているだけで筋肉痛になりそう! 当分は体が不安定になるのは我慢して練習するしかなさそうです。
 それならば今度は専用の幅広の椅子を作ってやろうかと思っていますが、 本来のオルガン椅子のように足鍵盤の厚みプラス足先が自由に動かせる余裕の分だけ高い椅子を作ると、 今度はチェンバロの鍵盤が低くて弾きにくくなります。 「でも私のは2段チェンバロだから上の鍵盤を下鍵盤だと思って練習すればいいさ」と思っていたらここにも落とし穴が。 下の鍵盤が邪魔になって、 本来なら演奏中に見えるはずの足鍵盤が見えなくなってしまうのです! 椅子を高くするならチェンバロも下駄を履かせて高くしないとだめみたいです。 何だか話がだんだん大袈裟になってきましたね。 でも子供の頃から工作は大好きなので、 今回のオルガン研究会には間に合わないとしても、 楽しみながら少しずつ進めていこうと思います。
11月21日(月)
 やっぱり何事も専門家から学ぶものですね。 本番を目前にして仲間のオルガニストにもう一回レッスンしてもらいました。 足鍵盤ですが、低音を左足で、高音を右足で踏む分にはどうということはないのですが、 曲が複雑になってくると、低音を右足でも、高音を左足でも踏むことが必要になってきます。 このとき、どう頑張っても体の向きを回さないことには届かないなあ、と思っていたのですが、 何と、そういうことが必要になる前の音で、鍵盤を踏んでいる足を支えにして体を回すんだそうです! なんだ、ちゃんとそういうことをやってたわけね! 回すといっても演奏の姿を見ているだけでは気づかない程度のことですが、 これで低音や高音を両足で弾くのがすごく楽になります。 そのかわり、どの音符のときにどの程度体を回すのかをちゃんと楽譜に書いておかないと、 元の姿勢に戻るタイミングを失ってしまいます。
 スタジオに戻って早速自作の足鍵盤で同じことをしてみたところ、またまた問題発覚。 足鍵盤を踏んで体を回そうとすると、足鍵盤のほうが滑って動いてしまうんですね! 明日にでも家具の滑り止め用のゴムを買ってきて貼り付けるつもりです。 それでも動くならチェンバロの脚に縛り付けないといけませんね。


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