チェンバロ奏者 八百板正己 のホームページ

八百板正己のCembaloニュースレター 2016年3月号(2016年3月29日発行)

印刷して郵便でお届けを始めたニュースレターの内容をここに転載します。
ニュースレターの郵送をご希望の方は、どうぞご遠慮なくお申し付け下さい。


チェンバロQ&A

Q:鍵盤の白と黒が逆のチェンバロもあるようですが?(加茂市 T様)

A:

いいことを聞いて下さいましたね!

下の写真はどれも私の所有楽器の鍵盤です。

写真1写真2写真3

鍵盤は必ずしも白と黒だけではなくて、単に薄い茶色の木と濃い茶色の木を使い分けただけの楽器もたくさんありました(特にイタリア)。写真1では、黒鍵は濃い茶色です(白鍵は牛の骨を薄く切って貼り付けてあります)。要するに、色が違いさえすればよかったわけです。

写真2は私がいつもコンサートに持ち出す楽器ですので、皆さんもご覧になったでしょう。「チェンバロは全部白と黒が逆」と思っていらっしゃるお客様からはよく質問されますが、歴史的にはこのように今のピアノと同じもののほうが普通でした。この楽器のモデルとなったオリジナルの楽器の黒鍵は、黒い木ではなくて、普通の木に黒い塗料を塗ったものだったそうです。

白と黒が逆なのはバロック時代のフランスのチェンバロと、先進国フランスに憧れていたドイツのチェンバロです。写真3もドイツ様式の楽器で、白黒逆になっています。こんにち、ちょっと高級なピアノでも黒い鍵盤には黒檀という木を使うのが普通ですが、当時は黒檀は大変な貴重品でした。白と黒を逆にすることによって「私は貴重な黒檀の木をこんなに広い面積に使うことができるほどの金持ちだぞ」と自慢するのが目的だったとか。

モーツァルトやベートーヴェンの時代のフォルテピアノが白黒逆なのも、ドイツのチェンバロを元に発展した楽器だったからですね。

※ 質問をお寄せ下さい。 このコーナーに採用させていただきましたら、お礼にちょっとかわいい音符雑貨をひとつプレゼントいたします。


最近のFacebook投稿から

一昨年の夏に始めました「フェイスブック」で、私自身の音楽にかかわることを気ままに投稿しております。

お客様の中で既にフェイスブックを使っていらっしゃる方、ぜひ「友達リクエスト」を下さい。

2月24日

家族3人でヴァイオリンを習い始めました!

初めてのレッスンは、とにかく弓の持ち方、楽器の構え方。これだけでも大変! 明日ちゃんと思い出せるのでしょうか?

後半はD線の解放弦でひたすらボウイング。これはもっと大変! でも優しい小島先生が上手に褒めながら教えてくださり、あっという間の楽しい一時間でした。

2月27日

娘と白鳥を見に来ています!

チェンバロの爪に使えるような大きい羽はなかなか落ちていませんね。

3月12日

群馬県みなかみ町にチェンバロを搬入しました!

一泊二日の女性セミナーのアトラクションとして、クープランやバッハなどを一時間弾きます。会場は山に抱かれた温泉街の一番奥で静寂そのもの。今日は演奏後に温泉に入って泊まれるというプレゼント付きです。

3月16日

今度はヴァイオリンを直してもらいました!

妻が音大の副科で少しだけ弾いて、そのまま物置にしまいっぱなしになっていた楽器です。家族揃って習い始めようとケースを空けてみたら、いつの間にかネックが緩んでしまっていました。

今日はその修理が完成したので受け取りに来たのと、娘が使う4分の1の楽器のレンタルもお願いしました。妻の楽器はネックの付け直しだけでなく、駒の交換、魂柱の交換、テールガット交換、サドル交換、ペグ交換、弦の張り替えもしていただいて、素晴らしく豊かな音に生まれ変わりました!

妻と娘が喜んでくれるといいなあ。


ニュース

新潟バッハ管弦楽団&合唱団 長岡公演に向けて頑張っています

4月16日は新潟バッハ管弦楽団&合唱団の、発足から1年余にして4回目の公演です。出演者の皆さん(総勢70人)は今とても頑張っています。

・新たに3人が独唱にチャレンジ!
・木管楽器(フルート4、オーボエ3、ファゴット2)は全員が何かしらの独奏を担当!
・オルガン担当は「異常に難しい」ミサ曲ロ短調の通奏低音に挑みます。通奏低音初挑戦とはとても思えない仕上がりです!
・ありえないほどの超絶技巧ホルンの最高音!
・ほぼ始めから終わりまで弾きっ放しの弦楽器も、大量の音符にめげずに完成度急上昇中!
・東京、群馬、長野、山形の県外在住メンバーも、遠距離をものともせずに本番が近付いて頻度が増えた練習に足繁くかよってきます!
・最年少の中学生は何とフルートとコントラバスを持ち替えで出演!
・最高齢81歳の紳士(合唱)は連日の腹式呼吸の賜物か年齢を全く感じさせません!
・まるでソルフェージュの試験問題のように歌いにくいミサ曲ロ短調のキリエを、合唱の皆さんよくここまで歌い込みました! 毎回の練習で一番感動するのがこれです!
・今年になってから入団したメンバー16人も、すごい勢いで皆に追いついてきています!

人をこれほどやる気にさせるとは、バッハの音楽はやはり偉大です。どんなに言葉を尽くしてももどかしい・・・。皆様ぜひ現場を目撃してください!

4月16日(土)17:30開演。長岡リリックホールでお待ち申し上げます。

チェンバロ教室でバルトーク?

私のチェンバロ教室ではどんなレベルの方も大歓迎で、楽譜が読めない、今まで楽器を何も弾いたことがない、という方もチェンバロの美しい音を楽しんでいらっしゃいます。

一つ問題があったのが、そのような初歩の導入用のチェンバロ曲が無いことでした。バッハが教育用に残した最も易しいチェンバロ曲でさえ、ピアノ教育のカリキュラムでは相当進んでからやっと手が出せるという難しさなのです。かといって、3歳の子供さんが弾いているようなピアノの教材をそのままチェンバロで弾いても美しくありませんし、目指す方向性も違います(ピアノの教材ではやはり「右手がメロディー、左手が伴奏」というパターンが多いですからね)。

そこで目をつけたのが20世紀のハンガリーの作曲家バルトークのピアノ練習曲集「ミクロコスモス」です。彼が自分の息子の教育用にレッスン中に書き下ろした練習曲も含まれていて、本当に生まれて初めて鍵盤を触る人でもその日のうちに弾けるようになるほどの易しい曲から始まっています。そしてそれがバッハの音楽に真直ぐにつながっているのです。こんな初歩のうちからカノンを弾かせるとは! 特に第1巻の36曲は不思議とチェンバロの音によく合います。それに何と言っても天才が作った音楽ですから、どんなに易しい曲にもしっかりと美が宿っています。

今3人の生徒さんがバルトークの「ミクロコスモス」に取り組んでいます。無理なく楽しく練習して、いつのまにか右手と左手が全く対等に複雑に絡み合う「対位法」が身に付いてきていますよ。

長岡市(旧栃尾)の最果ての地でフルートと共演します

毎年5月の連休に呼ばれて演奏している「杜々の森 名水コンサート」に、今年はフルートの武藤千明さんをお連れすることになりました。武藤さんは新潟バッハ管弦楽団&合唱団のメンバーでもあり、昨年秋の柏崎でのコンサートに続いて2回目の共演です。「毎年1曲か2曲ずつバッハのソナタを一緒に演奏していきましょうね」と話していまして、今回の目玉はバッハの「フルートと通奏低音のためのソナタ ホ短調」です。

会場となる「杜々の森名水公園」は、環境省認定全国名水百選に選ばれた湧水を中心とした自然豊かな公園です。遅咲きの桜と新緑をバックに、瑞々しいバロック音楽のひとときはいかがですか?

5月4日(水祝)11:00からと13:00から各40分。入場無料です!

あの井上静香さん(ヴァイオリン)との共演が実現

新潟出身で海外でもご活躍の井上静香さん。確か10年くらい前に演奏をお聴きして感銘を受け、それからずーっとコンサートのチラシを送り続けてきました。願いが天に通じたのか、このたび新潟市美術館での初共演が実現することとなりました。

今、井上さんはバッハにとても関心をお持ちだそうです。2日間のコンサートで、「両日ともいらっしゃるお客様のために曲を変えましょう」と、バッハの名曲「ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ」から2曲も提案いただいたのです。バッハを弾きましょうと言われれば絶対に断れない私ですし、この難しい曲を一緒に弾いてくださるヴァイオリン奏者には滅多にめぐり合えませんから、喜んで引き受けました。

5月5日(木祝)と6日(金)ともに15:00から約1時間。当日の企画展観覧券でお聴きいただけます。

以上の3公演(5/4杜々の森、5/5と5/6新潟市美術館)をめぐるスタンプラリーを計画しています。3公演中の2公演ご来場でプレゼントを進呈いたします(私のチェンバロを写したオリジナル・ポストカードを額入りで)。全3公演ご来場で更にプレゼント追加!詳細は来月号でお知らせします。

平均律クラヴィーア曲集第1巻講習会が大きく化けます

先月号で「素晴らしいヴァイオリン奏者を県外からお呼びして、平均律クラヴィーア曲集の中から弦楽器風の旋律をヴァイオリンで弾いて見せていただける可能性」と書きました。それから話がどんどん膨らんで、こんなとんでもない講習会に化けることになりました。

会場:りゅーとぴあ(新潟市民芸術文化会館)スタジオA
講師:八百板正己(解説とチェンバロ演奏)

第1回:5月25日(水)10:00〜16:00
平均律クラヴィーア曲集第1巻より 第1番〜第6番の徹底解説と演奏
特別レクチャー「弦楽器の演奏表現と平均律クラヴィーア曲集への応用」
ヴァイオリン共演:風岡優(元群馬交響楽団コンサートマスター。元国立音大教授)

第2回:6月29日(水)10:00〜16:00
平均律クラヴィーア曲集第1巻より 第7番〜第12番の徹底解説と演奏
特別レクチャー「声楽の演奏表現と平均律クラヴィーア曲集への応用」
ソプラノ共演:風間左智(声楽家。新潟市在住)

第3回:7月27日(水)10:00〜16:00
平均律クラヴィーア曲集第1巻より 第13番〜第18番の徹底解説と演奏
特別レクチャー「オルガンの演奏表現と平均律クラヴィーア曲集への応用」
オルガン:八百板正己

第4回:8月31日(水)10:00〜16:00
平均律クラヴィーア曲集第1巻より 第19番〜第24番の徹底解説と演奏
特別レクチャー「室内楽の演奏表現と平均律クラヴィーア曲集への応用」
(共演者調整中)

こんなに化けた理由を一言で表せば、「バッハは単にチェンバロ用の曲を作ったわけではないことをリアルに感じていただくため」です。最近の私は新潟バッハ管弦楽団&合唱団の活動をきっかけとして、バッハが鍵盤音楽に託したオーケストラや合唱などの響きが見えてくるようになったと思います。私にとって今一番ホットな視点からこの曲集を見つめ直し、バッハがこの曲集を通して息子たちや弟子たちに何を教えたかったのかを考えます。だって、バッハは息子たちや弟子たちを単なるチェンバロ奏者に育てたのではないのですから。少なくとも教会のオルガニストに、目指すは宮廷楽長や市の音楽総監督といった、大規模作品を自作自演する地位の超エリートを育てようとしたのです。こんにちの私たちが、この視点を持たずして平均律クラヴィーア曲集を学んでも、バッハからのメッセージの多くを見逃すことになるかもしれません。

文字だけでは決してお伝えできない画期的な情報満載で皆様をお迎えできるように準備を進めています。どうぞご期待下さい!


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