栃尾の気候・風土に合った住まい、そして住まいの本来の原点をたどりたいと思い、昔の住宅様式を残しつつ、今現在も住まれている100年以上経た住宅の中から4軒を選び調査しました。間取り、建築様式のほか、住んでいる方の感想などを聞きながら、次のとおり調査結果をまとめました。

それぞれ詳しくご紹介します。(写真をクリック↓)
栃堀/島さん宅 栃堀/佐藤さん宅 葎谷/多田さん宅 中/千野さん宅

〈メリット〉 〈デメリット〉
セイガイ造り
(出し桁造り)
●雨、雪から外壁を守る
●土壁・草壁・雨板を湿気から守る
●雪下ろし時に遠くへ投げられる利点
●後処理が楽
●自然落雪も遠くへ落ちる

●コストが高い
●屋根面積が大きくなる

※大きく張り出した軒の出

サシ造り広間型 ●襖を取り払うと広い空間が出来る
●壁の無い広い空間で昔は冠婚葬祭等 を行なっていた
●四季に応じた空間設定が出来る 
●夏涼しい 
●広い空間なので暖房効率が良くな い。対応策としては「縁側」や  「押入」の空間を確保して、外気 に直接ふれないような間取りにし ている

真壁と大壁
真壁[シンカベ]

柱を現わにした壁大壁[オオカベ]柱が現われない様に造った壁

●木は外気と同じ状態で呼吸している 方が長持ちする
●空間が広く取れる
※4軒とも真壁であったが、サシ造り は必然的に真壁になる。 
     
方位と間取り 4軒とも昔ながらの農家として典型的な生活様式に乗っ取った間取りである
 ※南西に縁側/東に住空間/北西に水廻り・物置
その他 ●土地選びは、地滑りや水害の無い所、日当たりの良い所を選んだ。
●周囲の自然を取り入れて、ゆとりのある生活空間を作っている。

※セイガイ造り(出し桁造り)

セイガイの起こり
主屋の柱より腕木をはねだして、桁をのせ、この部分に軒天井を貼る―――出し桁造りのことを、一般に「セイガイ造り」といいます。

厚く葺いた茅や、雪の重みに耐えるためと、軒先の造りを豪華に見せるための工作で、昔は一般の平百姓には許されず、高持百姓(自作農)や、村役でも、その地位によっては、正面だけをセイガイとし、他は垂木で葺きおろすとか、せいぜい三方セイガイまでで、四面をセイガイ造りにするようなことはまれでした。

養蚕の隆盛にともなって、平百姓でもその経済力を背景に禁を破って、セイガイを構えるものもふえ、また養蚕家屋の改良によって、二階屋の浜縁(外部にめぐらせた濡縁のようなもの)を腕木で持ち出した造りとし、これもセイガイ造りと呼ぶようになりました。

地方によって「せがい」「せえげ」「せんがい」「せんげえ」「せげ」などと訛り、一説によると船の櫓を漕ぐために、両舷に架けわたす横板を船がいといいますが、それに似ているからともいわれるし、また「青海」などという字を当てたものも見ますが、同じ当て字やこじつけならば、下から見上げたときに腕木と桁が井桁に組み合わされた天井という意味で、「井蓋」と書くのも悪くなさそうです。