チェンバロ奏者 八百板正己 のホームページ
| チェンバロ日誌(2006年5月) |
| チェンバロ日誌 |
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5月2日(火) 結婚2周年を祝って(ノロケ記事ですみません!)日帰りで温泉に行ってきました。 大型連休に半日くらいは音楽以外に時間を使うのも気分転換になるでしょう。 行き先は弥彦山の麓、岩室温泉高島屋。 数年前に建物が国の登録有形文化財に指定された由緒ある旅館で、 料金がすごく高いことでも有名です。 入浴付きの昼食プランでもちょっと勇気が要る値段ですが、 2年前にそこでチェンバロを演奏して以来送られてくるサービス券がだいぶたまって、 そろそろ期限切れのものも出てくるのでこの機会に使うことにしたのです。 (費用の3分の1はそれでまかなえました。) 私が毎日取り組んでいるのはヨーロッパの宮廷音楽ですが、 演奏に必要な往時の洗練された感覚はともすると現代の喧騒で麻痺してしまいがちです。 落ち着いたたたずまい、見た目にも芸術的である料理、 よく手入れの行き届いた中庭、客に見えないところで大変な維持の手間がかかるヒノキ風呂、 何もかも非日常の世界でした(ウーロン茶の小瓶だけが妙に現実的でしたが)。 帰りには弥彦に寄って「ロマンの泉美術館」を見学し、 またまた洗練された美の感覚がしみ込んできます。 今日のことでどれだけ自分の感覚が変わったのかは、 帰り道に目に入る郊外型チェーン店の看板が実に毒々しく感じられること、 帰宅して食卓の上に放置してあるあれこれのものが実に邪魔に感じられることでも分かります。 音楽以外に時間を使うことは単に「気分転換」ではなく、 よい音楽を提供するために時には「必要なこと」なのかもしれません。 |
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5月3日(水) いとこ夫婦が1歳半の女の子を連れてスタジオに遊びに来ました。 その子はピアノを触るのが好きだというので、早速チェンバロの前に座らせてあげます。 「叩かないでやさしく押すんだよ」と教えてあげると、 脱力してゆっくり鍵盤を下げて、なかなかいい音を出しますね、この子は。 上下の鍵盤を連結してあげると、下の鍵盤を弾いたときに上も一緒に動くのに興味があるみたいです。 1歳半ですが童謡なら知っているというので、 その子の右手を取って小さな小さな人差し指で「チューリップ」のメロディーを弾かせてあげて、 私が左手で伴奏をしてあげると、 まるで自分で弾けたように思えたのでしょう、楽しそうにもう何回かせがまれました。 1歳半にしてはよく喋ります。 NHK教育テレビでフランス語とイタリア語の入門をかじっている私としては、 その子の言葉をフランス語で言ってみようと思うのですが、 情けないことに3分の1も言えません。 将来フランスとイタリア旅行に行く日(が来ればの話ですが)までに、 せめて3歳児くらいは話せるようになりたいものですね。 |
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5月9日(火) 昨日は6月11日の共演者の風岡さん(ヴァイオリン、ヴィオラ)に群馬から来ていただいて、 カーブドッチに行ってオルガンと合わせてきました。 以前バロックヴァイオリンの人とは何度かそこのオルガンで一緒に演奏したことがありました。 バロックヴァイオリンはあまり大きな音は出せないのに、 オルガンの音色と対照的な細い音なのでかなりオルガンで音量を出してもよく聴き分けられたことが意外でした。 今回は現代のヴァイオリンとヴィオラですが、見た目はそっくりでもだいぶ勝手が違います。 楽器自体の音量がバロックヴァイオリンの何倍もあるのに(特にヴィオラは堂々とした音です)、 良く言えば音どうしが融け合いますが、逆に言えば弦楽器がオルガンに埋もれてしまいそうな部分もあるかもしれません。 次回の合わせでは耳の肥えた知人に客席でバランスを聴いてもらって万全を期します。 音楽は結局は人間の耳を通して心に響くものですから、 物理的な音量バランスと聞こえ方とが一致しないどころか、 予想外な結果が出たりするものです。 それがアンサンブルの世界の深くおもしろいところでもあり、 こうした経験の一つ一つが私のこれからの財産になっていきます。 |
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5月11日(木) 憧れの大オルガンを弾いてきました! りゅーとぴあ(新潟市民芸術文化会館)のコンサートホールに設置されている大オルガンです。 通常ならばちょっと触ってみようと思っただけでもコンサートホールを借りるのには大変なお金がかかるし、 日本オルガニスト協会の会員でなければ手を触れてはならないという規則があるために道が閉ざされていました。 それが今回、14日に行なわれるオルガン・マスタークラスの受講を応募していて、 今日は県内の受講者が楽器の試奏をすることができたのです。 4段手鍵盤プラス足鍵盤、ストップ数82という広大な音色の海は、 予備知識が無かったらどこから手を付けたらいいか全く見当がつかない世界ですが、 大学でオルガンの専門教育を受けていないとはいえ、 何年も小さなオルガンの演奏経験を積みながらこういう機会のために勉強してきた甲斐あって、 1時間の持ち時間は夢のような幸せなひとときでした。 今日のイメージを大切にして、 あと2日間はチェンバロで想像力を膨らませながら練習して当日に備えます。 |
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5月15日(月) 憧れの大オルガンで至福のオルガン三昧でした! りゅーとぴあの大オルガンはスペインの製作家によって作られ、 スペインの歴史的オルガン特有の音色や構造を備えているのが特徴の一つです。 今回スペインから来日した演奏家アンドレス・セア・ガラン氏は、 スペインの古いオルガン音楽を専門としていて、 13日の演奏会は16、17世紀のスペイン音楽だけを集めたものでした。 私も楽譜はそこそこ集めましたが、 楽譜を見ただけではなんとも無味乾燥に思える古いスペイン音楽が、 もうこれ以上は無いというほど霊感に満ちて感動的でした。 14日は日本各地から集まった受講生が氏のマスタークラスを受けました。 課題曲もすべて16、17世紀のスペイン音楽です。 朝から夕方までオルガンの演奏台にかじりついて世界的な奏者の指導を受ける、 夢のような一日でした。 |
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5月17日(水) 昨日は4回シリーズのインヴェンション&シンフォニア講習会の初日でした。 演奏会とは違って受講者の皆さんは楽譜持参で熱心にメモを取りながらお聴きになります。 演奏するのと同じくらい解説するのが大好きな私は、 演奏会では控えている専門用語も気兼ねなく連発できて気分爽快です。 ところが気分良く喋っているうちに気が付くと残り時間が全く足りません。 まだ課題の曲の3分の1も終わっていないというのに。 「これは急がなければ」と思いながらも、 喋りだすとやっぱり止まりません。 後半は耐えがたきを耐え、忍び難きを忍んで言いたいことの多くを飛ばしましたが、 それでも予定時間を30分もオーバーしてしまいました。 言いたいことがたくさんあるからといってまさか「全10回」などというわけにはいかないですから、 インヴェンションとシンフォニア全30曲を4回ですべて語りつくすことはもちろん始めから考えていませんでしたが、 それでも「この方々の中には今日限りでもう会えない人もいるかもしれない」と思うと、 一つでも多くのことをお伝えしたいのです。 次回からは前半のレクチャーの時間を減らして、 各課題曲の説明に時間を回そうと思います。 せめて言いたいことの半分はお伝えできるように。 各回は独立した内容になっていますので、 次回以降からの受講も歓迎いたします。 あと数名分ほど席があります。 |
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5月22日(月) 今日は今度の日曜の「スタジオ2周年記念イベント」に向けてスコブロネック製チェンバロの整備をしました。 イベントでは3台の楽器を使ったミニコンサートを行いますが、 スコブロネック製チェンバロは7ヶ月ぶりの演奏会登場なのです。 弱くなりかけた爪が7本もたまっていましたし、 季節の変化で発音のタイミングも調整し直す必要がありました。 手間がかかるほど愛着が湧くものだといいますし、 ちょっと大げさですが演奏会のたびに楽器に命を吹き込むことと言えるかもしれないこの作業、 私はちっとも苦になりません。 |
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5月30日(火) 一昨日のチェンバロスタジオ2周年記念イベントはなかなかの盛況でした。 午後2時のミニコンサートでは椅子もスリッパも足りなくなる寸前でしたし、 リコーダーを持参して私と即席のアンサンブルを楽しんでいかれた方や、 楽譜持参でたっぷりと試奏を楽しんでいかれた家族連れもいらっしゃいました。 お客様がバッハのシンフォニアを試奏しているところに私がもう一台のチェンバロで即興の通奏低音で絡んだり、 バッハの2台のチェンバロのための協奏曲の第2楽章を初見で合奏したり、 小学校低学年の子に右手だけ弾いてもらって連弾したり、 普段の演奏会やレッスンでは味わえないようなひとときを私も楽しませてもらいました。 |
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