やおいた まさみ
チェンバロ奏者 八百板正己 のホームページ

チェンバロ奏者 八百板正己 の演奏活動を紹介します
(2000.01.25開設)

あなたは番目のお客様です

チェンバロ日誌
1月5日(木)
 あけましておめでとうございます。 このホームページの開設から12年が経ちます。 皆様のご支援に心から感謝申し上げます。 今年もどうぞよろしくお願いいたします。
 さて、今回はひとつ嬉しいことがあったのでお話ししましょう。 先月末の「カーブドッチ・クリスマスコンサート」のときのことです。 久しぶりに家内が私のコンサートに同行して演奏を聴いてくれました。 家内いわく「隅々にまで『こう弾きたい』という意思が行き届いていて、 眠いところがなかった」というのです。 家内は人の演奏を聴いて奏者の心を読む能力が抜群なので、 今までは「あの曲のあの部分では何も考えないで手が勝手に動いていただけでしょ? 何も訴えてこなくてすごく眠かったから」といった具合に、 私の集中力が散漫になったところは全部見抜かれていました。 それが今回は無かったというのですから嬉しいことです。
 でも、本当を言うとコンサートのすべての曲で「こう弾きたい」という意思を通せたわけではないのです。 コンサートの本番というのはいつものことながら予期しないことが次々に起こるもので、 内心ハラハラ、ドキドキしながら何とか破綻なく演奏をまとめることで精一杯という曲もいくつもありました。 それなのに「隅々にまで『こう弾きたい』という意思が行き届いていた」と思わせることができたのはなぜだろう? と考えてみました。
 思い至ったのは私の練習方法の変化でした。 2010年9月29日の日誌2010年11月6日の日誌に書いた練習方法が身に付いてきたのでしょう。 内心ハラハラ、ドキドキしながら弾いた指の動きが、 じゅうぶん心を込めて練習していたときと同じ動きだったというわけです! とにかく短い範囲をゆっくりゆっくり、繰り返し繰り返し練習することに徹していましたから、 じゅうぶん心を込めて弾いたとき以外の動きを指が経験したことがないのです。
 この練習方法はハラハラ、ドキドキしなかった所についてもいい結果を生みました。 それまでのように曲全体を通してばかり練習したり、 曲全体でなくても十数小節といった長い単位でばかり練習していた頃には、 技術的に易しい部分や曲想が穏やかになる部分などでどうしても頭が休憩する傾向にありました。 それが、今は1小節とか数小節とかの練習を積み上げていきますから、 どんな細部に宿る美も見逃したくないという気持ちが働きます。 そしてそれは無理に探そうとしなくても、 短い範囲をゆっくり繰り返し練習していると「この細部はこのように美しいですよ」と音楽の方から教えてくれるのです。
 家内に演奏を褒められたのも嬉しいですが、 演奏家としての基礎力が向上したことに気付いて、 未来がもっと開けてきそうな予感に嬉しくなりました。
12月19日(月)
 先週は久しぶりに重い風邪を患いました。 コンサート等の最重要なことへの影響はどうにか回避できましたが、 レッスンはみんなお休みにしてしまいました。 その一週間ほどをレポートします。
 13日と14日はイタリアから来日した弦楽アンサンブルの長岡リリックホールでのコンサートに、 チェンバロの貸出しと調律の仕事をしました。 予定ではコンサートが終わる14日の夜から怒涛の練習モードに突入して、 週末の山形県酒田市での私のコンサートに向けて二日間の遅れを取り戻すつもりだったのですが、 コンサートの最中からどうも体調が変です。 疲れるし、何だか寒いし、イタリア人のために調律するという慣れない仕事のせいかとも思いましたが、 どうやらそんな生易しいことではすまない気配が濃厚になってきました。 といっても、そのまま帰宅してのんびり寝てはいられません。 週末に山形県酒田市で演奏するプログラムの中に数曲、 そのコンサートだけのための曲の練習がまだ万全ではないのです。 二日間のチェンバロ貸出し&調律業務の間にもそれらの曲だけは練習を続けて調子を整えてきましたから、 とにかくそれだけは練習しよう、と決めて、 そのためのエネルギー源にとニンニクとネギが大量に入ったラーメンを食べに行ってからスタジオに着きました。 気合で練習している間にもどんどん調子が悪くなってきて、 弾きながら平衡感覚がおかしくなったので諦めて帰宅することにしました。 が、いつのまにか室温がかなり高くなっていたチェンバロの部屋から出たとたんに、 過去44年の人生で一度も経験したことのない激しい悪寒に襲われました。 手先の振幅が15cm、顎の振幅は測りませんでしたが、 冷え切った車を運転する30分の間、あまりの震えに呼吸もままならないほどでした。
 15時間ほど寝通して目が覚めると15日の午後です。 悪寒は収まっていましたが今度は喉に異変が来そうだったので、 その日の夕方のレッスンと、翌16日の長岡教室を全部お休みにする連絡をして、 朝食だか昼食だか夕食だかわからない食事をとにかくしてからまた寝ました。
 さらに18時間ほど寝通して目が覚めると16日のお昼過ぎです。 当初の予定では長岡教室を終わらせてスタジオに楽器を下ろしてから山形へ向かうことにしていましたから、 これから旅の支度をしても出発までに数時間は練習ができます。 長岡教室の生徒さんたちごめんなさい。 やっぱりレッスンのためにコンサートを犠牲にするわけにはいかないんです。 この冬初めての本格的な降雪の中を山形まで5時間かけて走り抜けて、 海沿いの圧雪に時々肝を冷やしながらホテルに着いたのは夜の11時過ぎでした。
 山形県酒田市のコンサート会場はお医者さんの一室ですが、 ちゃんと「ホール」と名前が付いていて、 チェンバロが2台に椅子が60脚ほど、チェンバロのコンサートに最適です。 朝の10時に到着して、開場までの5時間ほどをとにかく無駄なく使わなくてはいけません。 午前中はメインとなる2段チェンバロのタッチに慣れることに専念して、 午後は「一年以上弾いていない、すなわち全然整備していない」という1段チェンバロの整備に充てることにしました。 1時間を目標に始めた整備ですが、次から次へと直すべき所が出てきて、 コンサートで使えるレベルにまで音を均一に揃えるのに結局2時間以上かかったでしょうか、 これが誤算の1つ目。 整備が終わって気がつくと開場30分前で、 ここでのコンサートだけのための数曲をこの1段チェンバロで慌しく練習しました。
 コンサート自体は熱心なお客様方がとっても温かく迎えて下さり、 幸せな気持で演奏できたのですが、 例の1段チェンバロの調子が演奏中におかしくなってきました。 いくつかの重要な音でキーをゆっくり戻したときに爪が弦の上に乗ったままになって次の打鍵で音が出ない、 業界用語で言う「首吊り」を起こし始めたのです。 これが誤算の2つ目。 本当は一通り整備した後にさらに1時間以上弾き込んで、 起こりうる問題を出し尽くしてから本番に臨むべきものなのですが、 覚悟をしていたとはいえ焦ります。 いくつもの音の首吊りを直すには5分くらいコンサートを中断しないといけませんが、 コンサートには流れというものがあって、 時には楽器の整備よりも優先するほど大切なものです。 今回はその首吊りを起こす音だけ意識的にキーを離す動作を素早くして (音楽的には問題ですが衝撃で首吊りを防げる確率が高まります)、 次に打鍵するときが近づくと空いている指でキーをそっと触ってみて首吊りを起こしているかを確認し(曲を演奏しながらこれをするのはかなり大変です)、 もしそうなら打鍵するときに最高速で連打して(後のほうの打鍵で音が鳴ります)、 どうにかコンサートを中断せずに済ませましたが、 十分に心を込めて演奏するというわけにいかなかったのが何とも心残りでした。
 コンサートが終わって、その日は関係者で打ち上げ。 山形のお酒も美味しいですね! お酒を飲むのは半年ぶり位かもしれないです。
 翌朝はホールのオーナーのお医者さんが吹くフルートのレッスンをして差し上げました。 奥様のチェンバロと一緒にバッハのフルートソナタ・ロ短調です。 昨日のコンサートで調子に乗ってトークした喉は未だ治りきらない風邪のせいもあってだんだん声が出しづらくなってきましたが、 私はレッスンになるとつい大声で歌ってしまうので、 ますます虎のような声になっていくのでした。 アドバイスしたいことは山のようにありましたが、 今日は見附のスタジオでもレッスンの予定があるので残念ながら1時間で切り上げました。 さすがに虎のような声は何とかしなければと、 帰路の最初に立ち寄ったコンビにで「のど飴」を買ってなめると、 のど飴ってこんなに効くものだっけ?というほど気持がいいです。 山形も新潟もさすが雪国、 圧雪はきれいに除雪されていて、 帰路は快調に飛ばせて無事スタジオでのレッスンに間に合いました。 レッスンを一つ終わらせるとあらゆる仕事を放り投げて帰宅、 娘の誕生パーティーがはじまりましたが、音楽に関係ないから割愛します。
 そして今日、 今週は2つのコンサートが控えていますから、 治りきらない風邪を何とかしようと昼過ぎから5時間昼寝をしてスタジオに来ました。 先月末に弾いて以来の足鍵盤付きオルガン曲を中心に練習し、 久しぶりにこの日誌を書いて、 おっと、こんなことに2時間も費やしている場合ではないのに!
過去の日誌:
2005年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2006年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2007年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2008年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2009年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2010年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2011年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

項目 更新
自己紹介 2008.03.03
所有楽器 2005.05.13
過去の演奏 2012.01.21
今後の演奏予定 2012.01.21
レポート,雑記 2008.11.17
チェンバロ教室 2007.09.12
見附チェンバロスタジオ 2006.06.20
営業案内 2007.03.30
ヴォーカルアンサンブル・ルミネ2011.06.05
リンク集 2011.07.04

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