チェンバロ奏者 八百板正己 のホームページ
レポート,雑記
| ふゆのたびフェスティヴァル公演レポート |
2001年3月6日〜18日に長岡リリックホールで恒例の「第4回長岡国際ふゆのたびフェスティヴァル」が行われました。 同ホール発行の機関紙「リリック通信」に私の書いた公演レポートが掲載されましたのでここに転載します。 短い文章ですが、舞台裏の雰囲気などをお伝えできればと思います。
このたびの「ふゆのたびフェスティヴァル」では3月10日のフルート・リサイタルにチェンバロ調律師として、 13日のガラ・コンサートにチェンバロ奏者として参加しました。 その間の舞台裏をチェンバロ演奏家の視点からレポートします。
フルート・リサイタルでは1曲だけチェンバロを使います。
朝のうちに私の楽器を会場に搬入し、しばらく舞台上の温度に慣らしてから調律をしているとピアノのロジャーさんとフルートのポールさんがやってきて、
早速リハーサルが始まりました。
調律法は現代の平均律ではなく、バロック後期の音楽にふさわしい「ヤング1/6」
(注:これはチェンバロの時代に実践されていた調律法の一つで、調ごとに和音の響き方に個性を持っているのが特徴です。
シャープの少ない調は響きが純粋で、シャープの多い調は輝かしく響きます。)にしてみました。
演奏者のロジャーさんに何か言われるかな?と様子を伺っていましたが何も無し。OKのようです。
リサイタルのリハーサルの合間に、ガラ・コンサートで私が出演するヘンデルのトリオ・ソナタの初顔合わせをしました。
ポールさんもヴァイオリンのユラさんもチェロの植木さんも私も、腹の探り合いで何ともちぐはぐな演奏。あと3日で何とかしなければ。
夜になってリサイタル本番です。
出番は後半の第1曲、休憩になってチェンバロを舞台中央に移して蓋を開けると照明を浴びてどんどん調律が狂っていきます。
調律中は平静を装いながらも、内心は時計を見ながら「あと5分」「あと2分」と冷や汗ものでした。
チェロの植木さんと2人でヘンデルのトリオ・ソナタの「低音合わせ」をしました。 「トリオ」というのになぜ演奏者が4人いるのかというと、楽譜にはチェンバロを除いた3パートしか書いてないからです。 バロック音楽ではチェンバロは左手をチェロと一緒に、右手は即興で埋めていくので、チェロとチェンバロは一心同体でなければなりません。
この日は休館日ですが出演者は休み無し。トリオ・ソナタのリハーサルでは前日の低音合わせが功を奏してか、結構いい感じです。 ユラさんもポールさんと合わせたのか、2人の表現もまとまっていました。 終わってから植木さんと「あそこは思ったより速いですね」「ここはフルートに任せないでこちらでテンポを作っちゃいましょう」などと対策の打ち合わせです。
当日になってしまえばもう決められたスケジュールにただ流されるだけです。 今日の出番は1曲目なので、開場前から楽器を照明に当てておくことができて調律時間も充分取れたので、楽器のコンディションは最高でした。 演奏の方はつまらないミスタッチをけっこうしてしまいましたが、バレたでしょうか?
地方で活動していると共演者になかなか恵まれず、どうしてもソロの演奏活動に偏りがちです。 そんな中で、このような形で貴重な機会を与えて下さったリリックホールの皆様に心から感謝いたします。
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